ページのまとめ
  • 需要は価格が低ければ増え、高ければ減る。それを表したのが需要線
  • 供給は価格が高ければ増え、低ければ減る。それを表したのが供給線
  • 需要線と供給線の交わるところで、価格が決まる

需要と供給をグラフに表してみる

基礎編2「株価は、だれが決めてるの?」では、株価は直接的には需要量と供給量によって決まると説明しました。そこでは「なぜ需要量が増えると株価が上がり、供給量が増えると下がるのか」について、説明しませんでしたので、ここで、もう少し詳しく説明しておきます。

需要と供給というのは、ちょっと難しい言葉に感じますが、需要とは「買いたいと思う気持ち」、供給とは「売りたいと思う気持ち」のことだと理解してください。

市場<しじょう>で取引される商品の需要は、価格によって変化します。つまり同じものでも、値段が安ければ欲しいと思う人(需要量)は増えるし、逆に値段が高くなると減る、ということです。この「買い手の気持ちの変化」を、図で表すと次のようになります。

需要線1

一方、供給はというと、値段が高くなると、その商品を売りたいと思う人(供給量)は増え、逆に値段が低くなると減ります。これを図で示すと次のようになります。この売り手の気持ちも、図で表してみましょう。

需要線2

需要線と供給線が交わるところで価格は決まる

取引は、売り手と買い手の両方が納得するところで成立しますね。両方の気持ちが納得するところとは、上の2つの図を重ね合わせて、その線が交わるところなのです。

需要と供給による価格の決定

P(Price=価格の略です)を均衡価格<きんこうかかく>といいます。現在の需要と供給のもとで決まる価格です。しかし、需要または供給が、なんらかの事情で変化する場合があります。

たとえば、みなさんは、「今年はキャベツが豊作だから値段が安い」とか「今年は冷夏でトマトが不作だから値段が高い」といったことを、聞いたことがありますよね。これは、豊作とか不作というのは、まさに供給量の変化に結び付きます。

図で表すと、同じ価格に対して供給量が増えるのですから、供給線が右に移動します。すると、以前の均衡価格Pが、これまでより下がったP’に移動します。豊作なら、キャベツの価格は下がる、ということを表しています。

供給の増加で価格が下がる

今度は、なんらかの事情で需要が増えるとします。たとえば、みのもんたの番組で、「○○は健康にいい」と採りあげられて、ある商品が急に人気になったりする場合です。すると、同じ価格に対して需要が増える、つまり、需要線が右に移動し、価格は上がります。

需要の増加で価格が上がる

実際の店頭価格は、毎日動くわけではない

ところで、以上の話は、ものの価格が決まる「基本のしくみ」を示しているもので、実際に店頭で売られているものの価格は、需給に応じて毎日変わるということはありません。野菜や魚などの生鮮食品が、比較的値段が動きやすいくらいです。これは、計画的に製造できるものについては、生産量を調整し、メーカーや小売店が価格を管理できるからです。

それでも、たとえば、売り手が自由に値段を決められるネットオークションなどでは、品薄の人気タブレットは、メーカーの希望小売価格よりも高く売られたり、といったことが見られます。このような自由な市場では、上で説明したしくみに近い形で値段が上下するのです。

需要と供給がダイレクトに反映するのが、株式市場の特徴

需要と供給の法則が正しく機能するためには、市場参加者が市場や商品について常に正しい情報を得ており、自由に商品を選べて、供給者は自由に価格を決められる、ということが前提になります。しかし実際の生活の場面では、そういうことはまずありません。

たとえば、まったく同じ商品が、A店では500円、B店で550円で売っているということは、現実にはよくあります。

しかし、高い方のB店ではまったく売れないかというと、そんなことはありません。B店の方が近いから便利という理由で、B店で買う人もいるでしょうし、また、そもそもA店の方が安いということを知らない人もいるでしょう。

株式市場の場合は、株はどの証券会社で買っても、価格に有利、不利はありません。また、注文の手間なども、ほとんど変わりません。そして、商品(株)に対して大きな影響を与える情報は、どの投資家に対しても等しく公開されています。また、株価は、需給に応じて変動します。つまり、株式市場では、ほとんど「需要と供給」がそのまま株価に反映しているのです。

これが株式市場の大きな特徴です。