ページのまとめ
  • 上場企業の株は、株式市場でのセリによって決まる
  • 株式市場のセリは、参加者の注文で価格が動く
  • 買い注文と売り注文(需給)が一致したところで株価が決まる

セブンイレブンとローソンの株価を比較しよう

<2014年6月現在のセブンイレブンとローソンの株価比較>
(株)セブン&アイ・ホールディングス (株)ローソン
1株 約4,200円 1株 約7,300円
セブン&アイよりも株価が7割高い!?

コンビニエンスストアの大手、セブンイレブンは「(株)セブン&アイ・ホールディングス」(以下セブン&アイと略)による経営です。一方、ローソンは社名もそのままで「(株)ローソン」という会社が経営しています。そして、本原稿を執筆している時点(2014年6月)で、セブンの株価は4200円程度、一方ローソンは7300円程度です。

2倍まではいきませんが、ローソンの方がセブン&アイよりも7割強も高い株価です。なぜこのような株価になっているのでしょうか?直感的に、ローソンの方がセブン&アイよりも、7割以上売り上げが多いとか儲かっているとは考えにくいでしょう。では、このような株価は、だれが、どうやって決めているのでしょうか?

株価は株式市場でのセリで決まる

上場企業の株価は、株式市場においてセリ(オークション)のような方法で決められています。株価は、だれか特定の人(証券取引所や証券会社)が決めているわけではありません。もちろん、その会社が自分で決めているわけでもありません。

このことを「市場が決める」とか「市場参加者が決める」などとも表現されます。(なお、市場参加者とは、市場で売買をしている投資家、のことです)。つまり、セブンが4200円で、ローソンが7300円という株価は、市場によって決められた価格です。

言い方を変かえると、市場に参加している投資家の評価だ、ということです。それは、具体的にはどういうことなのか? 単純化した図式で見ていきましょう。

市場参加者はさまざまな思惑を持っている

市場にはいろいろな投資家が参加していますが、その参加者たちが、始値を見ていろいろな考えや気持ちを持ちます。(こういった市場参加者の考えや気持ちのことを「思惑<おもわく>」ともいいます)。株を買いたいと思っている人は、なるべく安く買いたい、売りたいと思っている人はなるべく高く売りたいというのが基本です。

しかし、同じように「買いたい」や「売りたい」の気持ちでも、強弱があり、また、すぐ買いたいのか、急いでないのかといった違いがあります。

たとえば、いまある株が750円だとします。これを見て、さまざまな投資家が様々なことを思います。

Aさん:もう少し上がると思うから、760円くらいまで上がったら売ろう。 Bさん:お金が必要になったら、いくらでもいいから、すぐに売ろう。 Cさん:もう少し安く、748円になったら買いたい。 Dさん:745円くらいになったら買おうかな。

こういった様々な思惑をもった人たちが、始値からの株価を見ながら、注文を出します。そして、買い注文と売り注文の価格と株数が一致したところで、売買が成立します。売買が成立したら、その値段が新しい株価となります。言い換えると、買いたい人も売りたい人も「この値段なら妥当かな」と思った値段が、株価になるのです。これが、市場が株価を決めるということの意味です。

そして、新しい株価が生まれると、「もう高くなり過ぎたから、買うのはあきらめよう」とか、「値上がりのスピードが上がってきたから、早く買おう」など、さらに新しい思惑が生まれます。株価の変化自体が、新しい思惑を生み、株価を変化させるのです。

さまざまな思惑

株価は、直接的には需給が決める

このような投資家の思惑は、実際に注文としては、証券会社のコンピュータから、証券取引所のコンピュータに送られ、瞬時に処理されます。そして、このような思惑が実際に注文となって表れたものを、需要(買い注文)と供給(売り注文)、略して「需給」と呼びます。つまり、株価は、直接的には市場での需給によって決まるのです。

セブンの株価が4200円でローソンの株価が7300円だということは、セブンは4200円で買うのが妥当だと思う人と、売るのが妥当だと思う人の両方が、同じくらいの数(正確には、人数ではなくて、注文数です)存在したことを表し、ローソンの場合は、7300円が妥当だと思う人が売買の両方に同じくらいいた、ということを表しているのです。

では、それぞれの売買をした人たちは、なぜその株価が妥当だと思うのでしょうか?その点については、次の項目「株価は、その会社の値段なの?」で説明します。