ページのまとめ
  • 株とは、株式会社の持ち分を細かく分割して表した券のこと
  • 持ち株数で、だれがどれだけ会社を所有しているのかがわかる
  • 持ち分を株で細かく分けることで、売買が便利になる

株は、株主の「持ち分」を表すために株式会社が発行するチケット

株は、正式には「株式」といいます。株式は、「株式会社」が発行している券(チケットのようなもの)です。(本サイトでは以後、「株」という呼び方で統一して説明します。)では、株式会社が発行するチケット=株とはどんなものであり、なんのために発行されるのでしょうか?

「持ち分」という考え方

例を使って説明しましょう。例えば、あなたが5000万円の家を買うとします。あなたが5000万円を販売会社に支払えば、家はあなたのものとなり、登記簿にあなたの名前が記されます。以後は、その家に住んでもいいですし、住む必要がなくなれば、他の人に売ってもかまいません。

では、この家を、あなたの親が3000万円、あなたが2000万円を出して買った場合は、どうなるでしょうか?

この場合は、出した金額に応じた所有権を持つ、共有名義とすることができます。この例なら、家の所有権のうち、6割を親の持ち分、4割をあなたの持ち分とします。そしてたとえば、将来その家を売ったら、持ち分に応じて売却金額を分配するなどとします。

このように、分割できない1つのものを共同で持つ場合に、出したお金に応じて誰がどれだけの所有権を持つのかということを、「持ち分」と言います。

持ち分は自分の所有物なので、自由に売買できます。もしあなたが家を出ることになり、家の持ち分4割がいらなくなれば、それを親や、あるいはだれか別の人に売ってもかまいません。

会社の持ち分を表すのが株

さて、いまの日本には「だれのものでもないもの」(無所有物)は、ほとんどありません。家や車はもちろん、道路や橋もだれか(国や自治体など)の所有物です。

そして、会社も必ず「だれかのもの」(所有物)です。しかし、大きな会社は個人がひとりで所有していることはまれで、お金を出し合った人たちで共有されていることが普通です。

そのとき、だれがどれだけ会社を所有しているのか、その「持ち分」を示す証<あかし>となるのが、株です。「証となる券」なので、株のことを「証券」とも呼ばれるのです。

たとえば、Aさんが5000万円、Bさんが3000万円、Cさんが1000万円出資して1億円の会社を作るとします。そして、会社はその1億円の資金で1株=10万円として、1000株を発行し、出資割合に応じて、Aさんが500株、Bさんが300株、Cさんが200株を受け取ります。これで、それぞれの会社の持ち分が明確になります。

ところで、1株がいくらに相当するか(額面金額)は、会社が自由に設定できます。したがって、上の例では、会社は1株を1000万円として10株を発行し、Aさん5株、Bさん3株、Cさん2株割り当てるとしても構わないのです。

しかしそうすると、もし株主にお金が必要になって株を売りたい場合、1000万円単位でしか売れません。これでは、単位が大きくて売買しにくくなります。売買しにくいことを、「流動性が低い」、といいます。
わざわざ1000株などと細かく分割するのは、流動性を高めるためです。このように細かくわけておけば、その時の必要に応じて、1株でも10株でも、売買することができます。細かく分けて売買の単価を低くしておけば、流動性を高くできる、ということです。

株とは、一口で言えば、「株式会社の持ち分を細かく分割して表した券」なのです。