ページのまとめ
  • チャートとは、過去の動きなどを表したグラフのこと
  • チャートには科学的な根拠はないが、多くの人が使っている
  • コンピュータでシミュレートするシステムトレードが、注目されている

チャートとは

チャートの例(1) 四本値を記したローソク足チャート。もっともよく利用されている
チャートの例(2) 終値だけを記したもっともシンプルなチャート

上の図のように、過去の株価などの動きをあらわしたグラフのことを「チャート」といいます。です。シンプルに株価(終値)だけを記したものから、株価や売買高などの数字を様々に加工をして得られる指数を用いたチャートも、非常に多くの種類が考案さています。なお、チャートの使い方自体は、実践編でくわしく説明します。

チャートは、過去の株価の値動きを記したものですが、単に記録として使うのではなく、それをもとにして、株価の動きを分析、予想して、売買の基準とすることもあります。

株価も出来高も、株式市場での売買の結果として生じる情報であり、市場からのみ直接得られる情報です。このように、株式市場から直接得られる情報を分析することを「テクニカル分析」と言います。そして、テクニカル分析は、主に短期の株価の動きを予想するために有効だと考えられます。

チャートだけで短期売買をする人もいる

株価が、長期的にはその企業の本質的な価値に収れんしていくものだとしても、特に材料に変化もないのに、株価は毎時、毎分、動いています。

こういった短期の動きは、業績などではほとんど説明できないため、短期売買をする投資家の中には、ほぼ「チャートを見るだけ」で売買する人もいます。

テクニカル分析では、投資家の心理的な面を重視して、短期の動きを解明しようとします。つまり、投資家の心理が、刻一刻と変化する株価に表れ、それを記録したものであるチャートに表れる、という考えです。

チャートはそれを見ている人の心理が表されていると考えられる

チャートを見ていると、たしかに株価が過去に同じような動きをしているということが感じられることがあります。たとえば、急に上がり過ぎた株価はいったんは下がるとか、ある価格帯の中で、行ったり来たりしていて、その上限や下限をなかなか超えられない、といったことです。

そのような株価の動きは企業の価値といったことからは説明できません。しかし、一例として、以下のような仮説を立てることはできます。

市場参加者が同じチャートを見ているとき、過去にもこの値段で株価が下がった、というポイントに株価が近づけば、参加者たちは「過去にもこの値段で株価が下がったからそろそろ下がるかもしれない」と思うでしょう。そしてそのうちの何人かは、実際に株を売ります。すると、売られたというそのことによって、株価は実際に上昇が鈍ったり、下がったりします。

すると今度は、売っていなかった他の投資家も「やっぱりここで下げるのか」と思い、実際に株を売ります。そして本当にどんどん株価が下がる、というわけです。

つまりチャートからは、株価の動きが投資家の心理にどのような影響を与えるのかを読み取るのです。その点で、行動経済学やゲーム理論といった学問分野となじみやすいものだといえます。

システムトレードが、テクニカル分析の主流になる?

ただし、上記は市場参加者の多くがチャートだけをもとにして売買をしているということを前提にしています。実際には、どのくらいの人が、どの程度チャートに基づいて売買しているのかはわかりませんので確かめようのない仮説です。

一方、現在は、コンピュータを用いて、売買シミュレーションができます。ある条件になったら(たとえば過去の平均値より何%上がったら、など)売買をするという数値条件(パラメータ)をいくつも設定し、何度もシミュレーションすることで、勝率が50%を超える売買パターンを見つけることができるかもしれません。

こういった手法をシステムトレードといい、伝統的なテクニカル分析とは、異なる手法として注目されています。実際、株よりも規模が大きい位為替取引の世界では、そのようなコンピュータによる自動売買(システムトレード)が、プロの間でも用いられていると言われています。

株式市場においても、今後のテクニカル分析は、このようなシステムトレードが主流になっていくかもしれません。
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