ページのまとめ
  • 上場企業は年に4回決算を行い、配当金を最大で年に4回出す
  • 株を保有している期間に関係なく、期末の権利確定日の株主が配当金をもらえる
  • 株主になるには、期末までに約定ではなく受け渡しを済ませる必要がある。配当金目的では注意

「1日株主」でも、配当金はもらえる?

株を買ったら株券が送られてくるの?」で、株を買うとほふりの株主名簿に登録され、それをもとに配当などの株主の権利が受けられるという説明をしました。ところで、ここで次のような疑問が生じるかもしれません。それは「どれくらいの期間株主であれば、株主の権利を受けられるの?」という疑問です。

たとえば、昨日買ったA株を今日売ったとします。たった1日だけの株主ですが、このような株主でも配当金などを受けられるのでしょうか? 答えは、「場合によっては受けられる」です。

配当金がもらえるのは、最大で年に4回

会社は、1年間を会計の単位(これを「事業年度」といいます)として動いており、1年に1回決算をします。実践編で詳しく説明しますが、決算とは会社の業績などをまとめて、発表することです。これを本決算といいます。

また、本決算以外に、四半期(三か月ごと)ごとの決算が義務付けられており、年に4回の決算がされています。(本決算から半年の後の決算のことを中間決算ともいいます)。

そして、会社は各決算にあわせて、その内容に応じて配当金を出したり、次期のさまざまな経営上の方針を決めたりします。業績によっては配当を出さないということもありますので、1年間で最低0回、最高では4回の配当があることになります。実際に多いのは、本決算の1回、あるいは、本決算と中間決算の2回にわけて配当を出す企業です。

期末の1日だけ株主でいれば、配当金をもらえる

また、決算期の最後の日のことを「決算日」または「期末日」といいます。たとえば、3月決算(本決算)の会社であれば、3月31日が期末日です。その場合、6月30日、9月30日、11月30日が、各四半期の期末日になります。

この各期末日に、株主名簿に掲載されている株主が、その期の株主としての権利が受けられます。たとえば、配当金や株主優待については一般的な企業に多いのは、次の2つのパターンです。

  • (a)3月が本決算、9月が中間決算で、本決算時に本配当(株主優待品)を支給する。
  • (b)3月が本決算、9月が中間決算で、それぞれに本配当と中間配当(株主優待品)を支給する。

また最近は年に4回、配当金を支給する企業(たとえば、ホンダ技研など)も出てきています。

  • (c)3月が本決算、9月が中間決算、6月と11月が四半期決算で、そのすべてで配当金(株主優待品)を支給する

(a)パターンの企業の場合、3月の期末日、つまり3月31日の最後まで株を持っていた人が、配当金等(本配当)を受け取ることができます。また、(b)パターンであれば3月末と9月末、(c)パターンであれば3月、6月、9月、11月の各期末日に株を持っていた人が、それぞれの配当金等を受け取ることができます。

これは、1日だけでも構いません。(a)であれば、3月31日に株を買い4月1日に株を売ってしまっても、問題ないのです。配当金が来るのはだいぶ後(7月ごろ)ですが、きちんと受け取ることができます。

また、定期株主総会は年に1回、本決算のときに開催され、株主のもとには召集状等が送付されますが、これも、期末日つまり3月31日の株主名簿に載っている株主に送付されます。実際はその後すぐに株を売ってしまっても、株主総会にはちゃんと出席できます。

株取引における約定日と受け渡し日の違いに注意

ここで気を付けなければならないのは、株取引では、売買が成立(「約定<やくじょう>」といいます)した日と、実際に受け渡しが行われる日が異なり、受け渡しは、約定日の3営業日後に行われるという点です。

そして、権利については約定ベースではなく、受渡しベースで計算されます。つまり、たとえ約定して、証券会社の口座から代金が引かれていても、買ったその日を含め、2日後までは、株は自分のものではなく、当然、株主名簿にも掲載されないのです。

この、その期に株主としての権利が受けられる最終の売買日を、「権利付き最終日」と言います。またその翌日には株を買ってもその期の権利は受けられないので(もちろん次の期までもっていれば次の期の権利は受けられます)、「権利落ち日」と言います。また、実際に権利が確定する期末の日を「権利確定日」と言います。

  • 権利付き最終日:その期に株主としての権利が受けられる最終の売買日
  • 権利落ち日:権利付き最終日の翌日
  • 権利確定日:実際に権利が確定する日(期末日)

もし、配当などを狙って株を買う場合、この「権利付き最終日」と「権利確定日」との関係をしっかりと理解しておきましょう。数える単位が、株式市場の「営業日」(土日祝は除く)である点にも、注意が必要です。

権利確定の例

<3月31日が火曜日の場合>
3月26日(土)    
3月27日(日)    
3月28日(月) 権利付き最終日 この日に株を買って、翌日まで持っていれば株主
3月29日(火) 権利落ち日 この日に買っても、その期の権利は得られない
3月30日(水)    
3月31日(木) 権利確定日 その期の権利が確定する日。期末日
<3月31日が木曜日の場合>
3月26日(木) 権利付き最終日 この日に株を買って、翌日まで持っていれば株主
3月27日(金) 権利落ち日 この日に買っても、その期の権利は得られない
3月28日(土) (土曜日はカウントしない)
3月29日(日) (日曜日はカウントしない)
3月30日(月)    
3月31日(火) 権利確定日 その期の権利が確定する日。期末日
決算と権利確定のスケジュール(3月決算企業の例)