ページのまとめ
  • 株で利益を得る方法には配当狙いと、売買差益狙いの2つがある
  • 初心者はあれもこれもと欲張らずに、どちらかに絞った方がいい
  • 本サイトでは売買差益狙いをすすめる

株で利益を得るには2つの方法がある

一口に「株で儲ける」と言いますが、実はこれには2つの方法、考え方があります。1つは、長期間株を保有し、配当金や株主優待などをもらい続けてコツコツと稼ぐ方法です。この方法による儲けのことを、インカムゲインともいいます。(ゲインとは、儲けということです)。

もう1つの方法は株を買った時の値段よりも高い値段で売り、差額で儲ける方法です。この方法による儲けのことを売買差益、またはキャピタルゲインと言います。

この方法では、株の値下がりによって損をする場合もありますが、その場合は売買差損、またはキャピタルロスと言います。

入門書によくある“机上の空論”

さて、上記のように株で儲けるには2つの方法があるのですが、実際に株式投資を始めるにあたって大切なことは、「必ず狙いをどちらか絞る」という点です。よく初心者向けの株の入門書などには、次のようなことが書いてあります。

「株を買ったら長期間じっくり保有して、配当をもらいながら値上がりを狙いましょう。こうすればキャピタルゲインとインカムゲインの両方がえられて、とてもお得です」

はっきり言って、これは机上の空論です。「二兎を追うものは一兎も得ず」で、このやり方はたいてい失敗します(もちろん、たまたま上手くいくこともあるでしょうが)。また、このやり方で上手くいくのは、よほどの上級者だけでしょう。

初心者ほど、シンプルなやり方がいい

これから株式投資をはじめる場合、インカムゲイン狙いでいくのか、キャピタルゲイン狙いでいくのか、(それはどちらでも良いのですが)どちらかをはっきり決めてください。特に初心者のうちは、あれもこれもと欲張った方法は、失敗の可能性がとても高くなります。一般の入門書に書いてあることとは逆ですが、投資初心者ほど狙いをどちらかに決めた方がよいのです。

1つの例として、実践編2の「買った理由がなくなったら売る」で述べますが、投資の大切な技術のひとつに「損切り」というものがあります。狙いが外れてマイナスになってしまった株を、損を覚悟で売って処分することです。ところがなまじ配当金があると、「配当金もあるし、もうちょっと持っていようかな」といった考えが生じて、するべき損切りができなくなります。これは一例ですが、とにかく、「二兎を追うものは一兎も得ず」を肝に銘じて、狙いは一本に絞ってください。

日本の株式市場のインカムゲインは低すぎる

狙いを絞るのはどちらでもいいと書きましたが、本サイトでは、基本的にキャピタルゲインを狙う方法をベースに説明をしてきます。つまり安く買い、高く買うことで株の利益を得よう、というのが本サイトの主張です。そして、インカムゲイン狙いについては、特殊な場合を除いておすすめしません。

その理由は、日本の株式市場では、インカムゲイン狙いをするには、配当金の水準が低すぎるためです。たとえば、「日経新聞」には、毎日の株式市場の平均利回りが掲載されています。それによると、2014年7月現在の東証1部全銘柄の予想平均利回りは、1.6~1.7%程度です。もちろんこれは無配当の企業も含めた平均ですが、高配当と言われる企業でもせいぜい4%~5%台です。

つまり、100万円で株を買ったとして、配当金としてもらえるのは、平均で1万6000~7000円程度、高くても5万円程度、ということです。さらに、そこから約20%の税金が引かれます。

<配当金 利回り 有名企業の一例 >(2014年6月30日現在)
企業名 予想配当利回り(%)
トヨタ自動車 2.74%
三菱UFJフィナンシャル・グループ 2.52%
セブン&アイ・ホールディングス 1.58%
ソニー 1.45%
楽天 0.29%

もちろん、定期預金の利回りと比べれば、数十倍の高さですが、元本が保証されている低リスク商品と、株のような高リスク商品の差としては、あまりにも小さい差です。

5%程度の株価の動きは日常茶飯事

仮に配当利回りが4%だとしても、1年間保有して4%の利益です(さらにそこから税金が引かれます)。
ところが一方、株価は4%程度下落することは日常茶飯事です。というより、1年後に同じ株価であることの方が奇跡的でしょう。仮に5%の値下がりをしたら、配当金をもらってもマイナスです。

5%の値動きと言えば、たとえば、800円だった株が760円に下がるということです。皆さんは、これを聞いたらどう思われますか?「すごい、大暴落だ」とは思いますか?「まあ、株だからそれくらいの値動きはあるよね」という程度の「当たり前」のことだと感じる方が一般的ではないかと思われます。

その感覚は正しいのです。日常的な範囲で5%程度の値動きが発生する商品において、平均1.6%程度の利回りを求めても、ほとんどの人にとっては、意味がありません。

さらに、配当金は企業業績が悪化すると、引き下げられたり、無くなったりすることもあります。ただでさえ少ない配当金なのに、それがもらえるかどうかも確実ではないのです。そのため、本サイトでは以後、株で儲けること=キャピタルゲインを得ることを前提にして、一部の例外をのぞき、その点に絞って解説してきます。

もちろん、上記を承知の上で、それでもあえて「自分はインカムゲインを狙って投資する」というのであれば、それはその方の投資スタイルですから、否定はできません。ただ、上記のことを知らずに、ただなんとなく雰囲気で「配当金って得だな」と思っているのであれば、その考えは改めた方がいいでしょう。