ページのまとめ
  • NISAの非課税枠をつかって中長期投資したいなら大型優良銘柄を選ぶ
  • 譲渡利益への非課税メリットを活かしたいなら、値動きの軽い小型株を狙う手も
  • 高配当銘柄を買ってたくさん配当金を受け取っても、NISAなら課税はゼロ

投資スタイルによって有利なNISA活用法は異なる

2014年からスタートしたNISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、本来は税金が課せられる投資の利益が非課税になります。制度にはやや使いにくい点が残るものの、せっかく投資をするなら節税の恩恵を受けない手はありません。

現時点では年間100万円まで、非課税期間は5年(移管すれば10年)という上限が設けられているので、決められた枠を最大限、有効活用したいものです。

NISAをどう活用していくかは、その人の投資に対する考え方に左右されます。タイプ別におすすめ戦略を説明していきましょう。

タイプ(1)非課税期間を最大限利用し、中長期でじっくり投資したい

NISA口座では1度売却してしまうとその非課税枠は使えなくなってしまいます。非課税期間を最大限活用し、長く保有できる銘柄に長期投資したいと考えるなら、大型優良銘柄がおすすめです。配当金も非課税となるため、高配当の銘柄を選ぶとより有利となります。

実際、NISA口座での保有額ランキングをみると、上位には武田薬品工業やみずほフィナンシャルグループ、キヤノンといった日本を代表する大企業で、なおかつ高配当の株が並んでいます(SBI証券調べ。2014年7月現在)。

これらの銘柄は小型株に比べれば値動きは安定しているうえ、倒産リスクも小さく、高い配当金を受け取りながら比較的安心して長期投資ができるでしょう。

<SBI証券 NISA保有残高ランキング 2014/07/11現在>
順位 社名
1 武田薬品工業 (4502)
2 みずほフィナンシャルグループ (8411)
3 キヤノン (7751)
4 イオン (8267)
5 三菱UFJフィナンシャルグループ (8306)
6 トヨタ自動車 (7203)
7 NTTドコモ (9437)
8 三菱商事 (8058)
9 日本マイクロニクス (6871)
10 三井物産 (8031)

長期保有を重視するなら、大型株や先進国株に分散投資する投資信託やETF、日経平均株価やTOPIXに連動する投資信託やETF(上場投資信託)などもおすすめです。

タイプ(2)非課税メリットを最大限に享受したい

せっかく利益が非課税になるのだから、株価が2倍3倍に上昇するような「大化け株」を狙いたい、という人もいるでしょう。100万円の投資が120万円に増えても節税できる金額は約4万円ですが、200万円に倍増すれば節税メリットは20万円超に達します。

大化けを狙うなら、東証マザーズやジャスダックに上場する新興小型株に注目してみてはどうでしょうか。特にバイオ関連、IT関連などの新興企業は株価の変動が大きく、大損する可能性も高い反面、いったん買われ始めると「暴騰」することも多く、2倍、3倍も夢ではありません。非課税メリットを最大限享受したいという人は、新興銘柄の中から特に上昇期待の高い銘柄を発掘するのもいいでしょう。

ただし、こうした銘柄は値上がり期待も大きい反面、株価が半分以下になるような事態も十分ありえます。意に反して値下がりした場合は、損失が小さいうちに撤退するといった厳重なリスク管理が必要になります。

たとえば、下のチャートでタカラバイオの2年間の値動きを見ると、最初は400円程度だった株価が、最高値では4000円超と、1年足らずで10倍に上昇しています。しかし、その後は急落し、一時は1000円程度にまで下がりました。値動きの激しさがわかりますね。

タカラバイオ(4974) 株価 チャート

個別銘柄ほどの大化けは期待できませんが、新興小型株を対象にした投資信託、新興国株式やそれに投資する投資信託、ETFでも近い効果が期待できます。

タイプ(3)初心者にもおすすめ!積立投資でコツコツ資産形成

まとまった投資資金がないけれど、NISAを利用して投資にチャレンジしたいという人なら、毎月の収入から一定額をNISA口座に積み立てていく方法がおすすめです。

積立投資には、一定額で購入できる投資信託が向いています。投資信託の価値は日々変動しているのに対し、投資する金額は一定のまま積み立てていくため、自動的に高値のときは少なく、安値のときはたくさん買い付けることができます。

このため、下落相場を経験しても、少しの回復で利益が出ることが多く、長く続けるほど損をしにくい投資法と言われています。途中で暴落局面に見舞われたり、株価が低迷する期間が長かったりと、苦しい局面を経験するほど、相場が回復したときの利益が大きくなるため、積立投資をする人は株価が下がると喜ぶ、ともいわれます。

投資信託の積立は、個別株や投資タイミングの選択に自信がない人にもおすすめです。NISAは年間100万円が上限なので、毎月8万円強の積立が可能ですが、枠を使い切ることにこだわるよりも、無理のない金額でなるべく長く続けていくことを重視しましょう。

ちなみに、本来は個別株で定額の積立はできませんが、カブドットコム証券の単元未満株投資「プチ株」なら個別銘柄で積立が可能です。

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タイプ(4)高配当株or 毎月分配型投信で配当や分配金を非課税でゲット

株の配当金や、毎月分配型投資信託の分配金をお小遣い感覚で受け取るのが楽しい、という人もいるでしょう。本来はこうした配当や分配金にも税金が課せられますが、NISA口座なら非課税で受け取ることが可能です。

ただし、毎月分配型投信は利益をどんどん分配するため複利効果が得られにくく、資産を元手に定期的な現金収入を得たい人には適していますが、長期的な資産形成には不向きといわれています。投資する商品を決める際には、自分はなんのためにどんな投資をしたいのか、という目標を明確にしていきましょう。

NISAの活用法をまとめると、次の表のようになります。

<タイプ別NISA活用法>
  特徴 メリット デメリット
じっくり
長期保有
タイプ
日本を代表する大型優良株でなおかつ高配当銘柄に投資。日経平均株価やTopix、先進国株や債券に分散投資する投資信託やETFなどでもOK 値動きが安定しており、配当もいいので比較的安心して長期保有できる 非課税メリットそのものは、それほど大きくない
大化け
期待
タイプ
新興小型株の中から、バイオ・IT関連など上昇期待の高い銘柄を発掘。成功率は高くないうえリスクも大きいが、当たれば2倍3倍も夢ではない。新興国株でも近い効果が得られる 狙いが的中すれば利益は膨らみ、非課税メリットも非常に大きくなる 値下がり時の損失も大きくなりがちなので、厳重なリスク管理が必要
コツコツ
資産形成
タイプ
投資信託や「プチ株」に毎月、決まった額をコツコツ積立投資。下落局面を経験すると回復後の収益が大きくなる まとまった資金がなくても投資できる 値動きの幅が小さいため、投資のおもしろ味には若干欠ける
配当で
現金収入
タイプ
高配当株や毎月分配型投信を買って、配当金を非課税で受け取る 非課税で受け取る配当や分配金をお小遣い感覚で使える 毎月分配型投信の場合、長期的な資産形成には向かない

2014年現在、NISAの年間の限度額は100万円、非課税期間は5年で、口座を開けるのは18歳以上と定められていますが、こうした制限を緩和し制度を拡充する案が検討されています。具体的には以下のような拡充案が、2016年以降に実現する可能性があります。

<2016年以降に実現する可能性のあるNISA拡充案>
  • 年間投資限度額の引き上げ
  • 子ども版NISAの創設
  • 非課税期間の延長