ページのまとめ
  • レバレッジをかけて、手持ちの資金以上の取引できるのが、信用取引
  • 株を借りて、売りから取引をスタートすることもできる
  • 通常の取引(現物株取引)に比べてリスクが高くなるので、中級者以上に向いている

投資資金の額を超える取引ができる

最初にお断りしておきますが、「信用取引」を利用することは初心者にはおすすめせん。仕組みがやや難しく、投資が、よりハイリスク・ハイリターンになるためです。利用するのは、株式投資を数年続け、売買を10数回以上繰り返して、相場に慣れてきてからにすべきです。

ただし、信用取引がどういうものなのかは、ざっくりとでも知っておいたよいと思われますので、ここで解説しておきます。

「もっとたくさん資金があれば効率のいい投資ができるのに」と思ったことはありませんか。株式投資の中には、手持ちの資金以上の投資ができる取引があります。これが「信用取引」です。

一般的な株式投資は「現物株」投資と呼ばれ、手持ちの投資資金の範囲内でのみ株を買うことができます。

これに対し、信用取引は現金を担保(証拠金)として証券会社に差し入れることで、資金の3倍程度の取引をすることができます。資金が30万円あれば最大100万円の投資ができるため、効率の高い取引が可能になり、利益を上げるチャンスが大きく広がります。

「売り」から始め、下落局面で利益をあげられる

現物株投資は、値上がりしそうな株を安く買って、高く売ることで利益をあげる投資です。買った後で株価が下がると損失を出してしまいます。

一方、信用取引では必ずしも「買い」からスタートする必要はありません。値下がりしそう、と予想するなら「売り」からスタートすることもできるのです。そう聞くと、「持っていない株をどうして売れるの?」と疑問に思うでしょう。要は証券会社から株を借りて、売るのです。そして、後で、市場で買い戻して、証券会社に返却すればいい、という仕組みです。これを「空売り」と言います。

たとえば、現在50万円のAという銘柄がこれから値下がりすると予想するとしましょう。信用取引を使って50万円で空売りし、思惑通りに45万円に値下がりした場合、この株価で「買戻し」をすることで差額5万円が利益となります。しかし、意に反して55万円まで株価が上昇した場合、このタイミングで損切りすれば5万円の損失となります。

信用取引は、株価が上がる上昇相場だけでなく、下落局面でも利益を出すことができるのです。

信用取引は上昇でも下落でも利益を出せる

信用取引はリスクが高い

手持ち資金を上回る投資ができるうえ、上昇相場と下落相場の両方で利益のチャンスがある信用取引ですが、メリットばかりではありません。思惑通りの値動きをすると利益が大きい反面、意に反した値動きをすると損失が非常に大きくなります。

現物株であれば、最悪の失敗をしたとしても資金がゼロになるだけです。100万円を投資して、150万円の損失を出すようなことはありません。しかし信用取引の場合は資金額を上回る投資をしているため、元手の額を超える損失を出すことがあります。

信用取引をした後、意に反した値動きをして投資に対する証拠金の割合が一定水準を下回ると、証券会社から追加の証拠金(追証)を求められることがあります。追加の証拠金を差し入れたとしても、相場が戻らなければ後から入金した追証もろとも失うこともありえます。

資金が追加できなければ、強制的に売買を終了させられる

追証を入金することができなければ強制的に反対売買をさせられるうえ、多くの場合はそのあとも損失が残り、それは証券会社に対する借金となります。株価が思惑と反対方向に大きく動くと、用意した証拠金がゼロになるだけでは済まず、当初の投資金額を大幅に超える損失を被ることがあるのです。

こうした最悪の事態を招かないよう、信用取引をする際にはそのしくみとリスクを十分理解し、万全の資金管理をしておく必要があります。

<信用取引のリスクを抑える資金管理のポイント>
  • 限度額いっぱいの投資をしない。取引額に対する証拠金の割合に余裕を持っておく
  • 損切りのルールを設定し、厳格に守ること。「少し待てば戻るかも」と甘く見るのは厳禁
  • 相場を見ていないときに大きく株価が動いたときでも損切りができるよう、逆指値注文を出しておくと便利

期限のない信用取引もある

信用取引には原則として6か月の期限があり、現物株のような長期投資はできません。買いから入った場合は6カ月以内に売却し、売りから入った場合も6か月以内に買戻しをしなければなりません。もしこれらの反対売買を怠ると、期限の日時に強制的に決済させられることになります。

こうした期限付き信用取引を「制度信用取引」といいますが、期限のない信用取引もあります。「無期限信用取引」あるいは「一般信用取引」と呼ばれています。

無期限信用取引は反対決済の期限がありませんが、多くは買いからしか取引できず、空売りができるのは松井証券やカブドットコム証券など一部の証券会社に限られます。また、信用取引は証拠金を担保に株を借りてきて取引するしくみであるため、保有している間は金利がかかるので注意が必要です。その期間が長ければ長いほど金利がかさんでくるので、いずれにしろ短期勝負と割り切るのがよさそうです。

<6大ネット証券 会社四季報データ参照機能 比較 2014年7月現在>
  制度信用取引 一般信用取引 貸株料 最低
委託
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委託
保証
最低
委託
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買方 売方 買方 売方
SBI証券
ロゴ:SBI証券
2.80% 0% 3.09% - 1.15% 30万円 33% 20%
楽天証券
ロゴ:楽天証券
2.85% 0% 3.09% - 1.10% 30万円 30% 20%
マネックス証券
ロゴ:マネックス証券
2.80% 0% 3.47% - 1.15% 30万円 30% 25%
GMOクリック証券
ロゴ:GMOクリック証券
2.10% 0% 3.50% - 1.10% 30万円 30% 25%
カブドットコム証券
ロゴ:カブドットコム証券
2.98% 0% 3.09% 0% 1.15%
(制度)
1.5%
(一般長期)
3.9%
(一般売短)
30万円 30% 25%
松井証券
ロゴ:松井証券
3.10% 0% 4.10% 0% 1.15%
(制度信用)
2.0%
(一般信用)
30万円 31% 25%
  制度信用取引 一般信用取引 貸株料 最低
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