ページのまとめ
  • 買った理由が変化したり、消えたりしたらすぐに売る
  • 5~10%の基準に達したら、損切り売りする
  • とくにその銘柄に固有の悪材料が無くても、下がったら売る

株が下がったときのことを考えておこう

全体的に見れば、株が上がるか下がるか、その確率は50%ずつです。それなのに、株を買う時は「上がるだろう」と思って買うので、上がった時のことばかりを考えてしまい、下がった時にどうするかを、ついつい忘れてしまいます。しかし、下がった時にどうするかを考えておくことの方が、ずっと重要です。

保有している株が下がり、含み損(評価損)になってしまった場合の対処方法を考えます。なお、分割売買をしている場合は、その上限の株を買っている(例えば、100株を2回で200株を買った後)、という前提です。

値下がりしている場合の対処法は、大きく分けると2通りあります。

<値下がりしている場合の対処法>
  • 損切り=損することを覚悟で売ること
  • 塩漬け=回復するまでとりあえず保有すること

しかし、原則的には損切りをします。どのような場合に、どうやって損切りをするのかを、以下で説明します。

(1)買った理由が変化したり消えたりしたときはすぐに損切りする

買う時に上がると思って買った、その理由が消えたり、変化したりした場合は、すぐに売ります。

たとえば、日本マクドナルドが、2014年2月に発表した決算短信では、2014年12月期の業績予想を「16.7%のプラス」と発表していました。

図:2014年2月に発表した日本マクドナルドホールディングスの
決算短信2014年12月期の業務予想

それ以前を見てみると、2012年の実績が、前年比マイナス3.2%の減益、2013年の実績が、前年比マイナス60.1%の減益という、非常に悪い業績でしたから、久しぶりに利益がプラスになるというのは、明るいニュースです。これの決算を見て「マクドナルドの株を買い」と判断するのは、自然でしょう。

しかし、残念なことに、同年7月に「期限切れチキン問題」が発生します。このニュースはもちろん悪いニュースですが、業績にどの程度の影響を与えるものなのか、当初はわかりませんでした。ところが、7月29日、同社は業績の予想を取り下げてしまいます。「チキン問題の影響がどこまで広がるかわからないので、予想ができない」としてしまったのです。

2014年7月29日、業績予想の取り下げを伝える公式サイト

もし、先の決算を理由に日本マクドナルド社の株を買っていたなら、決算の数字そのものが消えてしまったのですから、これはまさに「買った理由の消滅」です。

利益が出ている場合、上昇トレンドが続いているなら、買った理由が消えても、すぐにあわてて売る必要はありませんでした。

しかし、いま含み損が出ているということは、当然上昇トレンドではないはずです。したがって、買った理由が消えたと思ったら、すぐに成り行きで売り注文を出します。上がる理由が消えたら、あとは下がるしかありません。

(2)下がる理由に気付いたら損切りする

株を買った後に、「下がる理由」が出てくることがあります。業績の下方修正や、不祥事、事故などの不測の事態です。

先のマクドナルドの例では、チキン問題のニュースが出た時点で、とりあえず株を売っておくという考え方もあります。もちろん、その後で、「じつは大した影響はなかった」ということになるかもしれません。また、こういうニュースが出た後では、株価が下がっているはずでから、売りにくいかもしれません。しかし、大きな影響を及ぼす可能性があるなら、いったんは手放す(損切する)のが、リスクを避ける上では重要です。

また、株を買う前に、新聞を読み、投資ノートをつけていたとしても、株価に影響を与えるすべての情報をチェックできるわけではありませんので、実は以前から下がる理由があったのに、(新聞の記事を見落としていたりして)それに気付いていなかっただけで、買った後で気づくこともあるでしょう。

そういった場合も、すぐに売りましょう。実はその理由が短期的なもので、いったんは株価が下がっても、すぐに元に戻ることもあります。しかし、それを気にしていては、リスク管理はできません。

まず売って、株を持っていない白紙の気持ちになってから、改めて、「いま、その株を買う理由があるか」を考えます。そして、やっぱり買う理由があると思ったら、買い直せばいいのです。

(3)市場全体の下げにつられている場合でも、一定の水準まで下がったら売る

日本の株式市場全体が長期的な下落傾向になっている場合、その株に悪い材料はなくても、全体につられて株価は下げます。こういうときは、その銘柄自体には悪い材料がないので、売りにくいのですが、それでもあらかじめ決めておいた一定の割合まで(5%~10%)下落したら、売ります。これは、資金管理(=リスク管理)のための売りです。

同じ意味で、また、「投資でもっとも大切な資金管理(2)リスク管理の具体的なやり方」で説明する、投資資金全体に対する最大損失割合に達した時も、すぐに売ります。

以上のように、株価が下がった時は常に損切りを意識しておかなければならないのですが、実際に損切りを実行するのは、なかなか難しい面があります。そこでどう対処すればいいのかを、「本格的な売買へのチャレンジ(5)危機管理には逆指値注文が有効」で説明します。