ページのまとめ
  • ポートフォリオ管理と並ぶ資金管理の要がリスク管理
  • 大きく損失した資金を、取り戻すことは難しい
  • 大きな損失を出さないためには、早めに損切りを実行するしかない

資金管理の要は、リスク管理

「ポートフォリオ管理」のところでも述べましたが、株に限らず、すべての投資において最も大切なことは「資金管理」です。その資金管理のもう一つの側面であり、要となるのが「リスク管理」です。

資金管理とは、「投資資金を一度になくしてしまうような使い方をしない」という意味です。なぜなら、もし資金管理に失敗して、資金がゼロになってしまったとしたら、もう投資自体ができなくなるからです。まず資金があっての投資なのですから、資金管理が最も重要というのは、当たり前のことですよね。

そうならないために管理するのがリスク管理です。しかし、これをしていない投資家も多く、そのために、株式市場から「退場」させられてしまう投資家も、また多いのです。

よくある失敗例~ビギナーズラックで慢心し、大金を投入して失敗~

初めて株式投資をする人は、不安ですから、ごく少額の資金で始めます。たとえば投資資金が50万円あったとしても、いきなり50万円全部を使う人は、あまりません。だいたい最初は10万円とか20万円で株を買います。

そして、不思議なことに、投資初心者は、最初のうちは利益が出て成功することが多いのです。これは、最初は不安なので、非常に慎重な姿勢で株を売買するためかもしれませんし、あるいは、ビギナーズラックというのがあるのかもしれません。

やがて投資に慣れてくると、だんだん自信がついてきます。そこで、投資金額の全部を一度に投資してしまうのです。これを心理的に説明すれば、最初のうちはおっかなびっくりで、慎重に始めるので、利益になりやすい、ところが何度も成功するうちに、「自分は株がうまい」という慢心が出て、投資が雑になるので、失敗しやすくなるということです。

しかし、もし失敗しても、最初のうちのように、投資金額の少ない部分だけを使っているのなら、被害も少なくすみます。ところが、慢心しているために、投資金額の大半を一度につぎ込んでしまっていることも、よくあります。すると、運悪くそこで大失敗すると、投資金額の半分以上といった大きな金額を、一気に失ってしまいます。

投資資金が50%減ったら元に戻すには100%の増加が必要

こうなると、そこから失った資金を取り戻すのは、非常に大変です。なぜなら、たとえば、100万円の資金が50万円になるのは、50%の下落ですよね。ところが、50万円の資金を100万円に戻すには、100%の上昇が必要なのです。

投資資金が50%減ったら元に戻すには100%の増加が必要

もちろん、株にはストップ安がありますから、1,2日で50%の資金がなくなるということはありえません。しかし、きちんと損切りをしなければ、数か月で50%の損失になることは、めずらしくありません。たとえば下のチャートはタカラバイオのものですが、2014年の2月ごろまで2000円以上だった株価が、わずか3か月後、5月には1000円まで下落しました。このような値動きはよくあることです。

株価下落の例

もちろん、何度もいいますが、損切りをきちんと実行し、5%、少なくとも10%下がった時点で売っておけばそんなことにはなりません。10%の損で確定しておけば、取り戻すこともそれほどは難しくないはずです。

しかし、100%増やすというのは、普通に考えても、非常に難しいことです。しかも、それに加えて「損をしてしまった。どうしよう。早く取り戻さなければ」という“焦り”も生じています。そのために、リスクの高い無理な売買をしてしまい、ますます損失を膨らませてしまうのです。多くの人が、こういった道をたどって、資金の大半を失い、投資の世界から強制退場させられています。

投資で一番大切なのは、「資金を残し、投資を続けていけること」であり、そのために必要なのが資金管理です。とくに、株を始めて「うまくいってるな」と思っている時ほど、いっぺんに投資の世界から強制退場させられるような、資金管理の失敗だけは、絶対に避けなければならないことを、肝に銘じておきましょう。