ページのまとめ
  • 分割して買うための資金をあらかじめ計算しておく
  • 3回以上の多分割や、異なる株数を買う不等分割は、より高度なやり方
  • 無計画な「ナンピン買い」は、してはいけない

多分割や不等分割が使えるようになれば、初心者卒業

本格的な売買にチャレンジ(1)分割して買う」では、分割買いの中でも一番単純な「2分割」の例で説明しました。
2分割の練習を何度かやってみて、慣れてきたら、3分割、4分割などの「多分割」や、1回目と2回目の株数を買える「不等分割」など、分割売買の応用にもトライしてみましょう。

これらの方法を使うことで、より有利な値段で買い、有利な値段で売り、リスクを避けながらより確実に利益を上げていくことができるようになります。

<多分割の例>
  • 1回目、5月13日:4050円(寄り付き)で100株購入
  • 2回目、5月21日:3938円(寄り付き)で100株購入
  • 3回目、5月22日:3947円(寄り付き)で100株購入
  • → 平均購入価格=3978.3円 300株購入
<不等分割の例>
  • 1回目、5月13日:4050円(寄り付き)で100株購入
  • 2回目、5月21日:3938円(寄り付き)で200株購入
  • → 平均購入価格=3975.3円 300株購入

このように、買うタイミングと、買値をずらしながら、より有利な売買ができるようになれば、もう初心者は卒業して、本格的な投資家です。

なお、2分割であれば、だいたいの平均値なども暗算ですぐ計算できますが、多分割や不等分割になると、お手上げです。そのために、損益管理シートでの記録が必要になります。損益管理シートで管理しておけば、すぐに買い値の平均値がわかります。

株価がどちらに動いても対応可能なリスク管理手法が分割売買

本格的な売買にチャレンジ(1)分割して買う」での事例をもう一度見てみましょう。
ここで、「13日の時点では買わずに、21日の時点でまとめて200株買っていれば、3938円で200株を買えたはず。その方が有利ではないか」と考える方がいらっしゃるかもしれません。もちろん、それはその通りです。

株価がどちらに動いても対応可能なリスク管理手法が分割売買

しかし、それは、後から株価の動きを見ているからいえる結果論で、意味がありません。可能性としては13日の後でそのまま株価が上がり続ける可能性もあったわけです。その場合、もし13日に買っていなければ、利益はゼロです。せっかくの儲けのチャンスを逃してしまう「機会損失」ということになります。

また、13日の時点でまとめて200株買って、その後で株価が下がったら、その後の対応は、損切りか保有かしかできず、追加で買って、平均値を下げるということができません。さらに、もし下がったら100株の時の2倍の損失額になります。つまり、リスクが2倍になっています。

このように、「短期的な株価は、上がるか下がるかわからない」ということを前提にして、その中で、なるべく利益の機会を逃さず、かつ、なるべくリスクを減らせるような売買をする、ということが、分割売買の目的です。

分割売買の注意点

分割買いをするためには、それに応じた投資資金が必要です。最大200株(100株×2回)買う予定であれば、200株を買った時点で投資総資金の50%以下になるようにしておきましょう。つまり、100株が、だいたい投資総資金の20~25%程度以下の銘柄を購入するということです。

また、もし1回目を買ったあと、株価が下がらずに、そのまま上がってしまったときですが、このときは原則的に2回目を買いません。株価が上がったあとで2回目を買えば、買値の平均値が上がるため、不利になるからです。

とくに今回の例のように、売りの目標を10%程度の上昇のところに置いているような、比較的細かい値幅での売買を考えているときは、買い値の平均値を高くしてしまうことは避けましょう。

分割買いとナンピン買いの違い

ところで、「ナンピン買い」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? これは、株価が下がった後で、同じ株を追加で買うことを指す言葉です。この「ナンピン買い」と、ここで紹介している分割買いは、「株価が下がった後で同じ株を買う」という意味では、同じですが、その意図するところや、考え方はまったく異なります。

単に、「目論見が外れて下がったけど、売るのがもったいないから買っておこう」というのがナンピン買いです。一方、分割売買は、最初から最大で200株を買う、と決めていることが、大きな違いです。

<ナンピン買いと分割買いの違い>
  • ナンピン買い:含み損を出している株を売る(損切り)がもったいないので、買い増しをする
  • 分割買い:最初から、最大購入株数を決めておき、上がっても下がっても対応できるようにしておく

このナンピン買いは、無計画であり、危険です。「本格的な売買にチャレンジ(4)買った株が下がった場合の対処」でも説明しますが、目論見が外れた場合は、まずは「損切り」(損失になってもいいので売却すること)をするのが原則です。