ページのまとめ
  • 相場の行き過ぎを判断するための指標は、数多く開発されている
  • 過去と現在の価格差に着目するのが、RSIとストキャスティクス
  • サイコロジカルラインは、投資家の心理を測る指標

株価は行き過ぎると反動で逆の動きをする

相場が急上昇した後は、「あまりにも急に動いたので、反動が下がるだろう」という心理が働きます。つい先日まで1000円だった株価が、1週間で1500円になってしまうと、「高すぎる」という気になるのです。

そこで、新規の買い注文が減るとともに、以前にその株を買っていて含み益が出ている人は利益確定の売りを出します。そのため急上昇した後には、急下降しやすいのです。

また急下降したあとは、上記と逆の心理により、急上昇しやすくなります。このように、短期的に株価が急激に上昇または下降した後は「この株価は行き過ぎではないか」と思われ、逆の動きをしやすくなるのです。そのため、短期的な行き過ぎの際に、その反動の動きを狙って投資する方法があります。

では、実際に株価がどのぐらい「行き過ぎ」となっているのかを確認するため、いくつかの指標が考え出されています。これらを「オシレーター系指標」といいます。

初心者にも使いやすいRSI

オシレーター系の指標の中でも、もっともよく利用される指標のひとつにRSIがあります。「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を数値で示してくれるため、初心者にも使いやすい指標です。

RSIは前日や前の週などと比べてどのぐらい上昇や下落をしているかというデータをもとに計算され、50%を中心に0%から100%までの範囲で変動します。連騰しているような相場ではRSIは100に近い数値を示し、逆に続落しているような相場ではゼロに近い水準で推移することになります。

RSI

RSIはローソク足の下に表示され、一般的には70%を超えてくると買われ過ぎ、30%を下回ると売られ過ぎとして、逆方向への動きに警戒する必要が出てきます。70%を超えて下落に転換すると売りサイン、逆に30%近い水準で株価が上昇に転じれば買いサインとなります。

投資家インタビューでは、「かぶうささん」がRCIという指標を活用しています。このRCIはRSIと似た考え方で作られた、親戚のような指標です。見方としては、0を中心として、100%に近づくと天井圏、-100%に近づくと底値圏となります。

ただし、RSIやRCIは、比較的小さなトレンドや一定の範囲内で上昇と下落を繰り返すボックス相場では大きな力を発揮しますが、大きなトレンドがある相場ではうまく機能しないことがあるので注意しましょう。以下のチャートでも、おおむね70%を超えると下落に転じ(チャート図B)、30%を下回ると上昇に転じる(チャート図A)法則通りの動きをしていますが、大きなトレンドを伴って上昇している局面(チャート図C)では70%を超えても上昇を続けており、RSIが機能していないことがわかります。

RSIのポイントと注意点

ストキャスティクスでトレンド転換を見極めよう

ストキャスティクスは、過去の一定期間の高値と安値、当日の終値を元に計算され、過去の高値と安値の値幅の間で、現在の株価がどの程度の水準に位置するかを示します。

ストキャスティクスはローソク足チャートの下に表示され、「%K」(下のチャートでは青い線)と「%D」(赤い線)というふたつのラインがあり、さまざまな分析方法があります。初心者は%Dで相場の過熱感を判断する方法を覚えておくとよいでしょう。

初心者は%Dで相場の過熱感を判断する方法を覚えておくとよい

RSIと同様に、ストキャスティクスも一般的に%Dが70%を超えてくると買われ過ぎ、30%を下回ると売られ過ぎと判断します。銘柄によっては80%や20%で株価が反対方向に転じる(反転)こともあり、証券会社の高機能ツールのチャートなどではその銘柄にふさわしい数字を示してくれることもあります。たとえば、下のチャートでは、80%と20%が株価が反転するポイントになっていることが多く、この水準に黄色いラインが引かれています。

D(赤いライン)が70%を超えてくると買われ過ぎ、30%を下回ると売られ過ぎ

上昇トレンドは高い数値で推移し、下落相場ではずっと低い数値を出し続ける傾向があります。ストキャスティクスが高い水準にあるのに株価が下落に転じれば、上げ止まりと判断して売り、低い水準で推移しているのに株価は上昇に転じれば、こちらも相場が転換したことを意味する買いシグナルとなります。

ストキャスティクスで売られ過ぎと買われ過ぎを判断できる

投資家の心理を表すサイコロジカルライン

サイコロジカルラインは、サイコロジカル(心理的な)という名の通り、投資家の心理状態を数値化した指標です。相場が上がるか下がるかは確率だけで見れば五分五分ですが、投資家の心理としては何日も上昇が続けば「そろそろ下落に転じるのでは?」と思うものです。このように考える投資家が多くなれば、利益確定の売りが増え、実際の相場も下落に転じやすくなります。

ですから、サイコロジカルラインは変動率には関係なく、一定の計算期間(通常は12日)の間に上昇した日が何日あるのかを割合で求めます。過去12日間で6日間上昇している日がある場合は、その時点のサイコロジカルラインは50%の位置にあります。一般的に、25%を下回ると売られ過ぎで、逆に75%を超えると買われ過ぎとなり、下落に転じるタイミングはそう遠くないと判断することができます。

サイコロジカルラインは投資家の心理を表す

テクニカル分析全般にいえることですが、特にこれらのオシレーター系指標は単独で相場の転換点を判断できるほど精度が高くないので、必ず他の指標と組み合わせて分析することが重要です。