ページのまとめ
  • テクニカル分析とは、株価の動きや需給をもとに株価の将来を予想する方法
  • 特に、短期の値動きはファンダメンタルズ分析では、分析できないのでテクニカル分析が求められる
  • テクニカル分析は売買のタイミングをつかむために有効

テクニカル分析は、株価の動きや需給で投資タイミングを計る手法

企業の業績や財務状態などをもとに投資判断を行う「ファンダメンタルズ分析」に対し、過去の値動きや需給をもとに株価の行方を予想しようとする手法をテクニカル分析といいます。値動きをグラフで示した株価チャートを使うため、「チャート分析」とも呼ばれます。

テクニカル分析でわかること

テクニカル分析は、以下のような投資判断を行う際に役立ちます。

  • 過去の値動きと比べて現在の株価水準は割高か割安か
  • 株価は上昇基調にあるのか下落基調にあるのか
  • 下落から上昇、あるいは上昇から下落へ転換するタイミングにきているか
  • 相場が過熱して、買われ過ぎたり売られ過ぎたりしていないか

なぜテクニカル分析を使うのか

中長期的には、株価は一株あたりの企業価値に収れんするといわれています。ですから理論上は、ファンダメンタルズ分析から導いた企業価値よりも安くなっている銘柄を買い、本来の価値まで上昇したところで売れば利益を出せることになります。

しかし、現実の株式市場は「人気投票」の側面が強く、たとえ赤字の企業でも外部環境や将来性が評価されて大きく買われることがあります。逆に、業績が安定していて、財務も堅実な企業であっても、なかなかマーケットに評価されず、しばらく割安に放置されたままの銘柄もあります。

とくに短期的な値動きにおいては、株価はファンダメンタルズ分析による企業価値とは関係なく、株価は需要と供給の関係で大きく値上がりしたり値下がりすることがあるわけです。たとえば、ダイキン工業の株価は上場来高値を更新しながら値上がりしており、長期的には右肩上がりのチャートを描いていますが、細かい値動きを見ていくと短期的には下落しているタイミングもあります。こうした株式市場の中で発生する要因をもとにした投資判断には、テクニカル分析が役立ちます。

ダイキン工業チャート

投資タイミングの判断に最適

どんなに業績がよい企業でも、投資タイミングを間違えて高値圏で買ってしまえば儲かるどころか損失を出してしまうことがあります。逆に問題のある企業であっても、安値圏でエントリーできれば十分な利益を出すことが可能です。

たとえば、川崎重工業は2013年と2014年の当期利益が2期連続で過去最高益を更新し、2015年3月期はさらにこれを上回る業績予想を出しているにも関わらず、2014年に入ってからの株価は伸び悩んでおり、短期的にはあまり利益をだせていません。

過去最高益を更新しながらも、2014年に入ってから株価は伸び悩む川崎重工業

一方で、バイオベンチャーのトランスジェニックは何年も赤字が続いていますが、折りに触れて上昇している局面があり、投資タイミング次第では十分利益を上げられているのがわかります。

何年も赤字が続きながらも、株価は折りに触れて上昇しているトランスジェニック

株式投資イコール銘柄選びと考える人もいますが、実際は投資タイミングの方がはるかに重要であることが多いのです。

チャート分析は、この投資のタイミングを判断するのに役立ちます。これぞと思う銘柄もすぐに買うよりも、チャートに買いシグナルが出るのを投資することで成功率を高めることが期待できます。

瞬間的な値動きで利益を狙うデイトレーダーのような人たちの中には、ファンダメンタルズ分析は一切せず、テクニカル分析だけで投資する人も多くいます。5分後や10分後、あるいは数時間後に値上がりすればいいだけなら、業績など見る必要などなく、チャートを見て適切な投資タイミングを判断できれば十分利益を出せるわけです。

投資家インタビューで登場したぽんすけさんも、銘柄研究はほとんどせず、チャートを見ながらデイトレードでしています。

ちなみに、ファンダメンタル分析とテクニカル分析は、決して相反するものではありません。ファンダメンタルズが良好であれば株は買われて上昇し、悪化すれば下落します。こうした株価の軌跡がチャートに描かれるわけですから、チャートはファンダメンタルズも織り込んでいるといえます。ファンダメンタルズ重視の投資家であっても、最低限のテクニカル分析はマスターしておくのがおすすめです。

テクニカル分析はさまざまな時間軸で将来の株価を予想することができるので、デイトレーダーにとっても、長期投資家にとっても役立ちます。中長期で考える投資家であれば、まずは業績や将来性、財務状態などファンダメンタルズ分析で投資候補銘柄を絞り込んでから、テクニカル分析で適切な投資タイミングを検討するのが基本になるでしょう。

逆に、チャートの形が投資タイミングに来ている銘柄をピックアップして、ファンダメンタルズに問題のある銘柄を排除しながら絞り込んでいく方法もあります。